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* それはとても、晴れた日で *

かきたいときに、そのときかきたいことを無節操に。

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【銀魂二次】能ある鷹は爪を隠す【万事屋よ永遠なれ】【土方】
萌えに燃えて・・・(以下略)
現在公開中の方。
腐りそうで腐らない、そんな曖昧なところをふらふらするのが好きなのは、BRの頃から変わらない。











 土方は、常と変らぬ好戦的で獰猛な眼で剣を振るいながら、その実内心、舌を巻いていた。
 攘夷戦争。その最前線。
 そもそも真選組は幕府の特別警察だ。その前、武州から上京した後も拾われたのは幕府方で、これまで相手にしてきたものは主に攘夷志士、地球人が多い。
 開国が成り、攘夷志士との闘いもそれまでのただの斬り合いとは変わり、天人から齎された武器重火器でのやり取りが増えたとは言え、身そのものに特殊能力を持つ天人や、地球人より圧倒的に身体能力が上回る天人と、しかもこれほどまでの大群とやり合った経験は、さすがになかった。
 しかしそれを、やっていたヤツらが居た。ただのこの一戦だけでなく、何度も何度も、何年も、ずっと。
 遠く先に揺れる銀髪と、いつの間にかその背を護っている黒髪の男を見る。
 その名、今でもその筋の者が聞くと震え上がる“白夜叉”と“狂乱の貴公子”。
 “鬼”と呼ぶにはもじゃもじゃ頭の眼は落ち着いていて、“狂乱”とは呼べぬほど全国指名手配犯の眼は冷静だ。
 それでも、結局は当時からツラが割れているあの二人に天人どもは殺到していて、そして二人は他の誰よりも奴らを相手にしながら、誰よりも先へ先へと駆けていく。その切っ先は迷いなく容赦なく、一撃で目の前の敵を斬り伏せていく。
 当時を知る者から言わせれば、それでも二人とも全盛期よりは丸くなったと言う。では全盛期は如何ほどだったと言うのだ。
 土方には見えた気がした。今もじゃ男が握っているのが木刀ではなく真剣だったなら。今の電波の踏み込みが後一歩深ければ。
 土方の脳裏に、過去万事屋とやり合った時のことが浮かぶ。クソ天人の大使館。いつもなら一撃必殺の返し技を、いとも簡単に躱された。どこぞの瓦屋根の上。何でこんな男に近藤さんがやられたのかと、卑怯な手を使われたと聞いたことを思い出し、だからあの人はお人好し過ぎていけねぇと、自分の刀が折られるあの一瞬まで、男の力量を読めなかった。
 いつもいつも、死んだ魚の眼で身体の奥まで巣食っているようなだらしない空気を纏わせ、こちらを見下ろしているあの男。
 桂にしたってそうだ。奴はいつも逃げる。その腰にはちゃんと獲物があるにも関わらず、それを抜くことは滅多になく、ただひたすら逃げに徹する。そして、いつも必ず逃げ切っていく。例え追う相手が自分でも、総悟でも。
 “能ある鷹は爪を隠す”とは良く言ったモンだ。眼前に迫る敵の刃を避けながら、土方は苦笑う。本当に強い者ほど、その力をひけらかさない。相手の力量を読むのも、強さの一つだ。ならば自分は、自分たちは。



 ――だからと言って、勿論、この真選組副長が負けるわけにはいかねぇ。



 四方の天人どもを一太刀で斬り伏せ、次が襲いかかってくる僅かの間に新しい煙草に火を付け、煙を吐いた。
 駆ける。奴らを囲む渦の中へと。
 ふと気付くと、その横には近藤と沖田。
 渦を斬り払いその中心に立つと、目の前にはあのもじゃもじゃ頭。その脇を固めるガキども。背中を護るは、黒髪の電波。電波のペット。ただの街の道場主(怪力)。名家の跡取りの女男。元御庭番衆のドM。吉原の天然女。そして、真選組。
 「大丈夫~? 何か、瞳孔開き切っちゃってますけどぉ」
 押し寄せる天人の大群を物ともしてないように、相変わらずだらしない声で、何だったら鼻糞までほじって。
 「うるせぇ。てめぇ、後でその手ちゃんと洗えよ、きったねぇなぁ」
 真横に立つ。途端にぴんっとほじりたてほやほやの鼻糞が飛んで来る。
 「おまっ、てめぇ、ふざけんなゴルァ!」
 刀を構えると同時、四方八方から敵が襲いかかって来る。
 次の瞬間、駆け出していた。横に立つ、世界を破滅させる魔王と世界を救う救世主の両方をやってのけた、ただの宇宙一バカな侍と共に。


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