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BR二次。
一応、(遅れたけど)川田さんお誕生日のつもり。
一応、(遅れたけど)川田さんお誕生日のつもり。
ねぇ、おきてよ。
そんな声と同時、肩を揺すられたような気がして、川田は僅か目を開いた。
まだ細い視界の中、白くて丸みをおびた人間の腕が、やはり自分の肩に添えられている。
「・・・ん」
空いているもう一方の腕で目を擦って身体を起こせば、慶子が、ちょっと呆れたような顔で微笑っていた。
一瞬、その肌蹴た・・・というか、一糸も纏わぬその姿に寝起き早々ノックアウトされそうになったが、とりあえず、見えなかったフリをして、視線を逸らした先にちょうどあった煙草に手を伸ばす。
その様子をどう見たのか、変わらず慶子はちょっと笑んで、2人の腹の上で丸まっていた毛布を肩まで引き上げて、先程まで川田が眠っていた場所に寝そべった。
「良く、寝てたね」
そう言って見上げる視線は、いつものように少し悪戯めいていた。
「・・・今、何時?」
ふっと周りを見渡しても、問いに答えてくれるあの物体が見当たらず、煙と一緒に横に眠る恋人に問いかける。
「んー、まだ、そんな遅くないよ」
そう言って、ベッド下に落ちていた腕時計を差し出す。22時。確かにまだ寝るほど遅くはないが、中学生の女の子が彼氏の家に居る時間にしては遅いような気がする。
吸い差しの煙草をねじ消してベッドから降りようとした川田の腕を、やけにひんやりとした慶子の手がぎゅっと止めた。まだ、いいじゃん。振り返って見下ろした目が、そう言っているように細められた。
「いや、駄目だろ。おばさんとか心配してるんじゃないか」
そう口では言いつつも、その冷たい手が何だかあれで、向き直って両の手を握る。じんわりと、自分の熱が移っていくのが、くすぐったいほど心地いい。
んーん。と、慶子は首を振りながら川田の腹に擦り寄ってきた。そしてこれまた冷えた頬を横腹に押し付けながら、言ってなかったっけ?と小首を傾げて見上げてくる。
「お母さん達は居ないの」
さすがに、急に腹に冷たいものが押し当てられるのは辛い。川田は身を捩って、結局はベッドから飛び降りた。その様を見て、慶子はケタケタと笑った。
部屋に戻った時に付けっ放しだった冷房を切って、窓を開けた。下の縁側からか、川田のと同じ臭いの煙がうっすらと立ち昇ってくるのが見える。という事は、親父は居るのか。自分が寝ている間に不用意に部屋を空けられていなければいいが。
そんな事を未だ寝ぼけた頭で思う川田の横で、黙って空を見上げていた慶子が、不意に肩越しに振り向いた。
「ねぇ」
「ん」
「章吾だったら、今目の前に、書いた事が何でも叶う短冊があったら、何て書く?」
その問いに不意に気付く。ああ、今日は誕生日なんだったっけ。
「・・・慶子は?」
その返しに、慶子はぷぅっと頬を膨らませて言う、質問に質問で返すのはずるい、今日は章吾の誕生日なんだから。
「そうだなぁ――」
何でも叶う短冊なんて、そんなもんこの世にはない。それだったらここは、恋人に負担にならない程度のそれっぽい願いを言うのがベターだ。そう思案する川田の思考を読み取ったかのように、慶子は更に頬を膨らませた。
「もう、どうして章吾はそう、現実的なのかなぁ。誕生日プレゼントはまた別途、あたしの身の丈に合ったものを差し上げますのでご心配なく!」
そうじゃなくて、本当に純粋に、今何でも願いが叶うとしたら、章吾は何をお願いするのかなって、純粋な興味。慶子は窓の外に視線を戻して言う。別に短冊じゃなくったっていい、今ここで流れ星が流れた事にしてもいい、そういう時、章吾なら、何を願う?
そんなの。川田は、一本煙草を取り出して火を付けて、ゆっくりと煙を吸い込んで吐いて、そして更に一呼吸置いた。こんな事口にするのは、恥ずかしいのださすがに。
「そんなの、決まってるよ。このまま、慶子や、七原や典子さんや、そうだな、後杉村とか・・・三村も面白いやつだ、そういう愉快な仲間達と、このまま何事もなく生きていく事だよ」
そう。と、慶子はゆっくりと振り向いて微笑った。あたしも多分、そうお願いする。そう言って、微笑った。多分、他のみんなもそう願うはず、そのみんなのお願いが、章吾への誕生日プレゼント。そう、言って微笑った。
俺達が、このままずっと幸せであるように。
お前達も、これからもっと幸せになるように。
俺は、七夕生まれだから、俺が空から祈れば、叶うかもしれないな。
そう言って、微笑った。
そんな声と同時、肩を揺すられたような気がして、川田は僅か目を開いた。
まだ細い視界の中、白くて丸みをおびた人間の腕が、やはり自分の肩に添えられている。
「・・・ん」
空いているもう一方の腕で目を擦って身体を起こせば、慶子が、ちょっと呆れたような顔で微笑っていた。
一瞬、その肌蹴た・・・というか、一糸も纏わぬその姿に寝起き早々ノックアウトされそうになったが、とりあえず、見えなかったフリをして、視線を逸らした先にちょうどあった煙草に手を伸ばす。
その様子をどう見たのか、変わらず慶子はちょっと笑んで、2人の腹の上で丸まっていた毛布を肩まで引き上げて、先程まで川田が眠っていた場所に寝そべった。
「良く、寝てたね」
そう言って見上げる視線は、いつものように少し悪戯めいていた。
「・・・今、何時?」
ふっと周りを見渡しても、問いに答えてくれるあの物体が見当たらず、煙と一緒に横に眠る恋人に問いかける。
「んー、まだ、そんな遅くないよ」
そう言って、ベッド下に落ちていた腕時計を差し出す。22時。確かにまだ寝るほど遅くはないが、中学生の女の子が彼氏の家に居る時間にしては遅いような気がする。
吸い差しの煙草をねじ消してベッドから降りようとした川田の腕を、やけにひんやりとした慶子の手がぎゅっと止めた。まだ、いいじゃん。振り返って見下ろした目が、そう言っているように細められた。
「いや、駄目だろ。おばさんとか心配してるんじゃないか」
そう口では言いつつも、その冷たい手が何だかあれで、向き直って両の手を握る。じんわりと、自分の熱が移っていくのが、くすぐったいほど心地いい。
んーん。と、慶子は首を振りながら川田の腹に擦り寄ってきた。そしてこれまた冷えた頬を横腹に押し付けながら、言ってなかったっけ?と小首を傾げて見上げてくる。
「お母さん達は居ないの」
さすがに、急に腹に冷たいものが押し当てられるのは辛い。川田は身を捩って、結局はベッドから飛び降りた。その様を見て、慶子はケタケタと笑った。
部屋に戻った時に付けっ放しだった冷房を切って、窓を開けた。下の縁側からか、川田のと同じ臭いの煙がうっすらと立ち昇ってくるのが見える。という事は、親父は居るのか。自分が寝ている間に不用意に部屋を空けられていなければいいが。
そんな事を未だ寝ぼけた頭で思う川田の横で、黙って空を見上げていた慶子が、不意に肩越しに振り向いた。
「ねぇ」
「ん」
「章吾だったら、今目の前に、書いた事が何でも叶う短冊があったら、何て書く?」
その問いに不意に気付く。ああ、今日は誕生日なんだったっけ。
「・・・慶子は?」
その返しに、慶子はぷぅっと頬を膨らませて言う、質問に質問で返すのはずるい、今日は章吾の誕生日なんだから。
「そうだなぁ――」
何でも叶う短冊なんて、そんなもんこの世にはない。それだったらここは、恋人に負担にならない程度のそれっぽい願いを言うのがベターだ。そう思案する川田の思考を読み取ったかのように、慶子は更に頬を膨らませた。
「もう、どうして章吾はそう、現実的なのかなぁ。誕生日プレゼントはまた別途、あたしの身の丈に合ったものを差し上げますのでご心配なく!」
そうじゃなくて、本当に純粋に、今何でも願いが叶うとしたら、章吾は何をお願いするのかなって、純粋な興味。慶子は窓の外に視線を戻して言う。別に短冊じゃなくったっていい、今ここで流れ星が流れた事にしてもいい、そういう時、章吾なら、何を願う?
そんなの。川田は、一本煙草を取り出して火を付けて、ゆっくりと煙を吸い込んで吐いて、そして更に一呼吸置いた。こんな事口にするのは、恥ずかしいのださすがに。
「そんなの、決まってるよ。このまま、慶子や、七原や典子さんや、そうだな、後杉村とか・・・三村も面白いやつだ、そういう愉快な仲間達と、このまま何事もなく生きていく事だよ」
そう。と、慶子はゆっくりと振り向いて微笑った。あたしも多分、そうお願いする。そう言って、微笑った。多分、他のみんなもそう願うはず、そのみんなのお願いが、章吾への誕生日プレゼント。そう、言って微笑った。
俺達が、このままずっと幸せであるように。
お前達も、これからもっと幸せになるように。
俺は、七夕生まれだから、俺が空から祈れば、叶うかもしれないな。
そう言って、微笑った。
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