×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
銀魂。一国傾城篇の高杉さん。
土方さんといい高杉さんといい、公式ベースで色気がありすぎてハァハァ。
どうしてもこの二人の色気を表現したいよハァハァ。
土方さんといい高杉さんといい、公式ベースで色気がありすぎてハァハァ。
どうしてもこの二人の色気を表現したいよハァハァ。
「なに、銀時が・・・?」
江戸城に忍び込み、将軍の首を獲ろうとして捕縛された賊が居る。処刑は明日朝一。そのお触れが市井に出るより半刻前、高杉の元に万斉が報せにやって来た。
しかしその者達はただ、閨で交わした約束に一生を懸けた吉原の花魁の待つ男を連れに来ただけで、それを狸に利用されて全ての罪をおっ被らせられちまっただけ。そんな気狂いな真似をする輩など限られていると言えばそれまでだが、予想違わずその阿呆共はやつらである、と。
馬鹿だ阿呆だと思っていたがこれほどまでとは! 高杉は、久々に馬鹿笑いが止まらなくなって、その場で腹が痛むほど笑い転げた。
「こりゃァまた、でけェ祭が始まるなァ!」
いくらあいつが規格外とは言え、さすがにあそこに軽々と手を出して無事で済むとは思えない。とは言えそのままただでやられるとも、思えない。体勢を立て直し煙管を銜えながら、高杉は気分よく杯に酒を注いだ。
――そうしてあいつは、花火と散るのか。あの白い身体が真っ赤に染まって。あの頃と変わらず、他人のために。
それもまたあいつらしい、どこまでもあいつらしい、と思うと自然高杉の唇は歪み、収まりかけた笑いがまた喉の奥と腹の底で揺れ始める。杯になみなみ注いだ酒を一息に呷った。口端から雫が溢れて、それを手の甲でぐいと拭う。元の育ちの良さからか、普段は静かに舐めるように酒を飲む高杉にしては、珍しい姿だった。
「結局あいつが、一番でけェことやってんじゃねェか」
「よいでござるか、放っておいて」
隊を動かす準備は出来ている、と万斉は言う。
そりゃあどっちの意味なんだろうな、と。高杉は煙管を吸い付ける間にひそりと思う。美味しいところを持って行かれていいのか? ・・・加勢に、行かなくていいのか?
桂は江戸から出払っている。これも万斉が持って来た情報だった。あちらはあちらで話を聞いて慌てて戻って来てはいるだろうが、多分間に合わないだろう、と。間に合ったところで、あちらもこちらもこんな大事は予定外だ。何もかもが時期尚早に過ぎる。そこまで考えて、高杉はぷかりと煙を吐き出した。
・・・ヅラならば、間に合えば駆け付けるのだろう、一人で。それならばあいつも、ついに散るのかもしれない。銀時と共に、花火に、なって。高杉はすっと瞼を下ろす。
片方の光を失った視界は、残った眼を開いていると見えるものに限りがあるが、閉じてしまえばそこに差異はない。闇が均一に無限に広がるだけ。その中に高杉は思い浮かべる。月明かりに照り返る銀髪が真っ赤に染まり、ぽん。艶やかな黒髪が白い面にべたりと張り付き、ぽん。ぽん、ぽん、と遠い爆発の音に合わせて二つの身体が宙に舞い、そうして地に落ち、そのまま闇の中に溶けて消える。
その想像に、高杉はふっと笑った。銀時はどうだか知らないが、ヅラはそれでもその相手が国だというならば、きっと本望なんだろう。
「――いい。このまま暫く、対岸の花火見物としようや」
どうせあの馬鹿には何も斬れやしない。高杉の脳裏に、真剣を木刀に持ち替えたぼんやり半目の男の姿が浮かぶ。どうせ斬れやしないのだろう、たとえそれがあの定々だろうが。あの腐れ狸が、腐れ狸の死肉にたかる烏共が、烏を飼う天子様共が、この腐った世界の産みの親だろうとも。
だったら祭はひやかし程度、最後に記念の面だけ貰っていこう。そう高杉がニィと笑うと、承知したでござると頷いて万斉は座を辞した。
今日も今日とて江戸の川っぺりに揺れる舟の上、一人に戻った高杉が見上げるは下り始めた陽と朱く染まる今宵の祭会場。祭提灯も灯ったならば、始まるまでは後数刻。だったら俺は祭囃子でも鳴らそうかと、高杉は三味線を手繰り寄せて撥を持つ。
あいつにその気はなくとも、やることは変わらなかった。それは何の因果か運命か。だったら――
「――だったらあの時あのまま、共に居ても良かったんじゃあ、ねェのかい」
高杉は思う。あいつらに見せたい。見せたかったと、思う。全部壊して壊れて真っ新になったこの世界を。あの人を奪ったこの狂った世界の、本当は在るべきだった形を。そうしたら。そうしたら。
「――」
元々兎に売った首だった。いずれは自分が落とす首だった。それならば今宵落ちるのが狸の首でも烏の首でも、あいつらの首でも、何も変わらない。
「・・・俺ァただ、壊すだけだ」
花火が、上がり始めたようだった。
PR
コメント